2009年7月31日金曜日

"Bruno"「ブルーノ」


[鑑賞日: 7/10/09]

"Bruno"を観ました。「ボラット」のサッシャ・バロン・コーエンの新作です。「ボラット」と同じ手法で、今度はオーストリア人でゲイのファンション評論家、ブルーノに扮したバロン・コーエンが、アメリカ人をおちょくりまくるモックメンタリー。

  一応おおまかな話の流れがあって、オーストリアで自分の番組を持っていた人気者のブルーノが、ファッション・ウィークでヘマをやったため(全身ベロクロの 衣装を着て取材に行ったらカーテンや衣装がベタベタくっついちゃって、そのカッコでランウェイに出てしまった)干されてしまい、そんならとハリウッドに渡 りセレブになろうと悪戦苦闘します。最初は、セレブたちにインタビューする自分がホストの番組を作ろうと、ポーラ・アブドゥルとのインタビューをセッティ ングしますが、メキシコ人の庭師たちに人間椅子や「おっさん盛り」をやらせて、ポーラに逃げられた末にブラックリストに載せられてしまいます。このくだりでラトーヤのインタビューもあったらしいけど、マイケル急死でカットされ、3分短くなったそうです。ロン・なんとかっていう、元大統領選候補の一人だった 政治家にモーションをかけたら、彼は部屋を逃げ出して、"Queerめ!"って罵るんだけど、その言葉は言ってはいけない言葉みたいで、 どの評でも、「彼には同情するけど、それを言っちゃあおしまいよ」みたいに書いてました。

 ハリソン・フォードに「Fuck You!」されながらなんとかプロモをでっちあげ、CBSのスタジオでフォーカス・グループに見せますが、どアップでぶるんぶるん回転するブルーノの局部 (←これ日本公開の時どうすんのかなー)とかを見せられた人たちはもちろんいい反応をするはずがなく、「ガンより悪い」とか書かれます。それで中東へ行っ て、反目しあう要人たちと平和会談したりとか、テロリストに自分を誘拐してくれと頼んだりとか、怖れ知らずなことをやった後またアメリカに舞い戻り、さら に言語道断なことを重ねていきます。

本作の笑いは、2通りに分類できると思う。あんまりうまく書けないけど、バロン・コーエンの創作 した極端にカリカチュアライズされた異邦人キャラクターに、おどろいたりあきれたり、なんとか冷静に対処しようとしたり(←これが一番はたから見るとおも しろいわけだが)する良識あふれるアメリカ人の、思わず素が露呈してしまう反応が呼ぶ、わりと気楽な笑い(人様の失態だからね)と、表向き異邦人キャラクターではあるけれど、実はそのキャラクターを通して極端にカリカチュアライズしているのはアメリカ人の姿で、彼の口あんぐりの行動は、実際のアメリカ人のしている行動や、アメリカ社会を大げさにこっけいに 再現しているだけ(他国の文化を尊重せずに自分たちの優れた「平和」を押しつけようとしたりとか)で、それを笑う、「鏡に映る自分を笑う」という笑いの2 つ。後者を心から笑い飛ばせる人は、「よくぞやってくれた」とこの映画を評価するし、そうでない人は心からは楽しめないと思う。私も心からは笑えなかっ た。理由はもっと根本的なことだけど。

おもしろいのは、カザフタン人を滑稽な人物造型にした「ボラット」は褒めちぎった評論家の一部が、「ブルーノ」はゲイを滑稽なステレオタイプに描いていて全く笑 えない、と否定していること。そういう表面的な倫理観とかを笑っているんじゃないの、バロン・コーエンは。でも、「ファッション評論家のブルーノが、 ファッション界から早々に追放されて風刺する対象を失い、あとはゲイの部分で笑いを取るしかなくなって存在理由がなくなった」みたいな評は、言えてると思 う。ファッション界をむちゃくちゃおちょくるブルーノだったらもっと気楽に笑えたろうな。それはバロン・コーエンの意図する笑いではないんだろうけど。

最 後の方の、レスリングを見に来た血に飢えた観客たちの前で、とっくみあいがいつの間にかゲイの恋人たちの抱擁になっちゃって、彼らの怒髪天をつくところと、ブルーノと「花嫁」の結婚を拒否した司祭に、ブルーノが「私たちは夫婦よ、子どももいるのよ」と主張すると、「いつ産んだんですか?」と質問 してから、司祭が「なんでこんなこと聞いたのかわからない」と、がっくり肩を落とすところが、すんごく好き。

野ウサギが一匹、かわいそうな目にあいます。
あとビックリ大物ゲストとかも。人間椅子に座って華麗に歌うEJが素敵♡

"The Proposal"「あなたは私の婿になる」

[鑑賞日: 7/6/09]

"The Proposal"を観ました。
サンドラ・ブロック扮するカナダ国籍の鬼編集長が、ビザ切れで国外退去させられる前に、部下の秘書と偽装結婚しようという、「グリーンカード」ネタのラブ コメディ。私、恋愛コメディってトンと食指が動かないんですが、評判がわりといいし、サンドラ・ブロックのお相手役が、スカーレット・ヨハンソンの彼氏だ というので、どんなヤツなんだろうと下世話な好奇心で観にいきました(^_^;)。
典型的な素材を過不足なく集め、新鮮味はなくても上手に料理してあるので、楽しく観れました。実は富豪の息子だった秘書、お人好しな未来の義理の母、エキ セントリックな祖母、父と息子の確執、お姑さんの飼ってる愛玩犬がとんだ災難に遭う(←これは"Easy Virtue"でも使っていた古典的な手だ)etc... 秘書の実家はアラスカ州にあるんですが、ちょうどサラ・ペイリンが知事を辞めると言いだした頃 で、タイムリーな場所選択でした。「リッチな白人のアラスカ」って、あんな感じなのか…。なるほど。
秘書の家族に、プロポーズの様子を教えてとせがまれると、秘書は「彼女に話してもらおう。話すのが得意だから」とサンドラ・ブロックに水を向けるところで、後ろの席のおじいさんが、なぜか爆笑してました。ツボって人それぞれだよなぁ。
地元の人気者、ヒスパニックの男性ストリッパーおじさんが、アクの強さで目立ってました。

"Public Enemies"『パブリック・エネミーズ』

[鑑賞日: 7/08/09]

"Public Enemies"を観ました。マイケル・マン監督、ジョニデ主演。

<ネタばれあり! まあ実話なんだけど>

有名な実在の銀行強盗、ジョン・デリンジャーのお話で、相当史実に忠実らしいです。どのくらい忠実かというと、有名な「赤いドレスの女」は、実は赤ではなくてオレンジのスカートをはいていたそうで、映画でもそういう描写になっていて、ロジャー・エバートが「そこまでしなくてもいいじゃん」とガッカリしていま した。
 さて、今回この映画はSony Cinealta F23HDというHDカメラを使用していて、業界はその点に大注目しています。HD撮影など今どきめずらしくないだろうに、なぜかよく分からないんです が、フィルムの質感がなくなり、非常にリアルで体感的な、今までにない映画体験を観客は味わうだろうと、なんか革命的な事態のように、複数の評が書いてま した。確かに、非常に画質がクリアで、特に、夜の銃撃戦シーンに、その威力が遺憾なく発揮されていました(その分、映画館のスクリーンのボロさがばれてい た)が…。それよりも、トーシロは、$150,000.00というカメラのお値段にビックリです。"American Cinematographer"誌によると、マン監督は最初はフィルムがいいと思ってたのですが、フィルムとデジタル同時にテスト撮りをしてみたら、特 に夜のシーンの鮮明さで、デジタルに軍配が上がったんですって。

そういう周辺事情はともかく、ジョニデがすごくカッコ良かったです! 基 本的にデリンジャーは、何か深い事情があるわけでもなく、ただそこに銀行があるから、みたいな感じで銀行を襲い金を奪う、非常にシンプルな犯罪者として描 かれており、でもヤマに当たるときは彼なりの規範で効率的に動き、不必要な暴力はふるわずはした金にも手をつけないため、大衆にはちょっとした人気があ る。ギ ロッってにらみを利かせると凄みがあって、スマートな強面って感じです。映画の最初の方、彼女(エディット・ピアフ役で賞もらったフランスのマリアンヌ・ コテヤール)と のなれそめのくだりは、なぜかコートが意味深な使われ方をしていて、寒がるビリー(彼女の名前)に自分のコートをかけてあげるのですが、その前のヤマで、 人質に取ったお嬢さんにやっぱりコートをかけてあげる一幕がありました。それから、デリンジャーを追うGメンのパーヴィス捜査官(クリスチャン・ベール) が、デリンジャーの手がかりをつかむのが、どこからか入手した彼のコート。そして、クロークをしている彼女の職場へやって来たデリンジャーが、「俺の女に なれ!」と迫り、「あなたのこと何も知らないもの」と鼻白まれると、「なんとかとかんとかと野球となんとかが好きで、お前が好きだ。他に知りたいこと は?」 とたたみかけます(「ありませんっあなたについてきます!」っ て、女性の観客全員と一部の男性は思ったに違いない)。その間に、服を預けていた男が「ちょっと、僕のコートは!?」ってうるさく口を挟むもんだから、 強面デリンジャーはそいつに一発お見舞いしちまいます。いい災難だ。ある評では、デリンジャーは映画ファンで、クラーク・ゲーブル気取りだったみたいで (実際、映画のクライマックスで、彼が映画館で観る映画がゲーブルの「男の世界」。男の世界って、マイケル・マン映画そのものじゃん)ジョニデは役作りを 半分デリンジャー、半分ゲーブルから借りてるって書いてありました。ジョニデ最高の演技とか、グレタ・ガルボ的な要素を持ってる役者だ、とか激賞されてる ので、いくつかの賞にノミネートされるかもしれません。 ただ、東宝のマスコミ向けメールによれば、洗練された立ち振る舞いで「FBIのクラーク・ゲーブル」と呼ばれてたのは、メルヴィン・パーヴィス捜査官の方 だそうですが。とまれ、全編強面(ニヤリと片頬を上げて笑うジョニデのアップがカッコいい!)のデリンジャーが、ビリーをFBIの鼻先でかっさらい、 久しぶりに再会したときに、すごくうれしそうに、片頬じゃなくて、両ほおで笑うんですが、それがすご〜くかわいくて胸キュンでした。デリンジャーがビリー を見初めた時、彼女が着ていたのが深紅のドレス。男を破滅させる魔性の女、「赤いドレスの女」とは、ビリーのことだったなりよ。

あ と映画がこだわってたのが、デリンジャーの仲間や、FBI側の誰かが撃たれて倒れる度に、息をひきとるまで、しつようにデリンジャー、パーヴィ ス、またはカメラがジーッて看取るんですよ。捕まったデリンジャーの顔を見に来たパーヴィスに、デリンジャーは「あんたは目の前で人が死んでいくのに慣れ てるか?」って聞くんですよね。そういうところひとつ取っても、既製のギャング映画とはかなり毛色が違います。

ジョニデのピカレスク 振りは見ものだし、とても面白く観られたし、アクション場面もすごく迫力あったし絵作りも申し分ないですが、映画が巧妙に作られていればいるほど、観てる 間中、「マイケル・マンは何がいいたくてこの映画を作ったんだろう?」ってずっと疑問でした。私がアクション映画ファンじゃないせいかなと思ったんです が、すごく褒めている評でも、「でも何かが足りない」と書いてるのが2本ほどあったので、あながち的外れな印象でもないの でしょう。

ジョ ニデも眼福だったけれど、パーヴィスの部下の一人に凄い腕のたつ、しぶい金髪の男がいて、そいつの存在感が、中盤から徐々にジワジワ増していきます。デリ ンジャーがどの映画館に行くかを当てたのもそいつで、そしてデリンジャーを仕留めたのが、パーヴィス(彼自身も冷酷なハンター)ではなくそいつで、映画の ラストシークエンス、そいつがビリーに面会に行くのですが、そのシーンと、ビリーの涙で、なんだかそれまでのモヤモヤが、スーッとカタルシスとなって消え て行きました。女の涙は凄いねっ。目千両じゃなくて涙千両だ。最後にテロップで、読み違いでなければ、その1年後ぐらいに、FBIを辞めたパーヴィスは自 殺したって書いてありました。自分 で獲物を仕留められなかったことが尾を引いたのかなあ。クリスチャン・ベールも超売れっ子ですね。

後で映画雑誌をナナメ読みしたら、マイケル・マンが、「僕が興味があったのは、デリンジャーの心理、何が彼の行動を駆りたてたのかだ」って言ってました。

関係ないけど、ジョニデとデリンジャーってイニシャルが同じだ。JD。

"UP"「カールじいさんの空飛ぶ家」


[鑑賞日: 6/7/09]

渡米後いのいちで、ピクサーの"UP"(「カールじいさんの空飛ぶ家」)を観ました。

ピクサーの映画って、「Toy Story」の頃から、あまり予告編に惹かれないんですよね。それは、電気スタンドとか、魚とか、蟻とか、モンスターとか、およそアニメーションの主人公には似つかわしくなさそうなモチーフを持ってくるせいかも知れません。この"UP"も、じじいが主人公ですよ、じじぃが。でも、意外なモチーフを、とんでもなく素敵な作品に仕上げてしまうのが、ピクサーマジック。本作も、年若い者でも、主人公のカールじいさんにすんなり感情移入できるようなキャラクター設計を施し、それがちょっと無理なちびっ子には、子どもの脇役と、ワンコや鳥さんなどのキュートな動物が用意され、申し分のないファミリー映画に仕上がってます。

あとはもう、楽しむだけ。

蛇足。
今回のCGは、刺繍などの質感がいい感じでした。(「レミー」の時はライティングがとりわけ素晴らしかったす)
あの滝、ウィリス・オブライエンの「ロストワールド」の滝だよね…。

でもピクサーて、宮崎アニメがもう土台になっちゃってるんだなあ感、ありあり。バイタリティあふれるシルバー世代(←政治的に正しい表現)とかね。

短編の、雲とコウノトリのお話(確か"Partry Clouday"という題名)も愛らしい。ちょうど、予告編で空からミートボールが降ってくるCGアニメ("Cloudy with chance of the Meatball"とかいう題)をやっていて、客席でえらくウケてましたけど、ちょっとなぁ。食べ物で遊んじゃいけません。


映画の最後に、アイスクリーム屋さんが出てくるのだけど、そのパーラー「Fenton's」はカリフォルニア州オークランドに実在する老舗で、監督のお気に入りなので登場させたんですって。先日バークレーに独立記念日の花火を観にいったついでに、ピクサーとそのお店に寄って、アイスクリームを食べてきました。おいしかった〜。お店は「UP」効果で大人気。場面写真と、実際のお店、ちょっと違うけど、昔はこんな姿だったのかしら。映画公開されたら、見直してみてください。

http://www.fentonscreamery.com/

"Taken"「96時間」

"Taken"「96時間」を観ました。以前はなかったのですが、Safewayというスーパーのチェーン店が一泊1ドルのDVDレンタル機を置くようになり、借りてみました。タイトル数はもちろん少ないけれど、話題作を気軽に見るには便利です。欠点は、ディスクが汚すぎて、クリーニングしないと再生かからな いこと。ブロックバスターなどレンタルビデオ店が軒並みつぶれているので助かります(というか一因なんだろうけど)

"Taken" は、きわめてシンプルな筋立てで、ストレートなアクションにした狙いが当たり、ヒットもしたし評判もいいです。評の中に、「真の 映画ファンなら楽しめる。この映画を『くだらない』という者もいるかもしれない。子どもの頃TVの『バットマン』を夢中で観ていても、少し成長するとく だらなく思え、また少し成長すると、そのワザとらしさは狙ってのものだと理解できるようになり、また楽しんで観るようになる。それと同じ事なのだ」という 論調のものがありました。

そうか? そうなのか?

私は、「自分の子どものためなら何をしてもいい。法を破っても車を盗んでも人を脅迫してもだましても撃っても拷問の末殺してもいい。だってみんなそうしてるから。自分の子どもでなければ、売り飛ばしても何しても平気なんだから」という世界観に、暗くなります。現実を見回せばそうかもしれない。だけどそれを是とし た上で娯楽アクション作品を作り、主人公がムチャなことをすればするほど喝采を送る観客という構図に、うすら寒い思いがする。まるでリアムが演じるジャッ ク・バウアーの活躍をスクリーンで観ているようだった。つーかさ、リアムが警備についた人気歌手のコンサートに賊がど派手に乱入し、おもむろにナイフを取 り出して歌手を狙うという展開に、しらけるな、しらけるヤツは厨房(この使い方あってるのかな?)だ、というのかい。

一緒に借りた「ラーメンガール」を楽しく観てしまった私は、やはり真の映画ファンではないのか。

ところでリアムといえば、これ、これ。
http://www.apple.com/trailers/disney/ponyo/hd/

ウィリアム・シャトナーが実はバルカンのあいさつの指が作れないとか、いろいろおもしろいことありますが、最近のヒットが、これ。 リアム・ニーソンに「ぽにょ」って言わすか~! 何回観ても笑えます。 サンタにも8月14日に来るみたいなんで、楽しみ。

"Easy Virtue", "Then She Found Me"


[鑑賞日: 6/06/09]

<ネタばれ!> 
"Easy Virtue"を観ました。マチネーの、3時の回を観たのですが、まぁ入ってる方です。ただし、見事に白髪の方々ばかり。エンジョイされてたようで、笑い声が起きていました。

ノエル・カワードの戯曲を、『プリシラ』のステファン・エリオット監督が10年ぶりぐらいに映画化しました。そんなにずっと映画化したい題材がなかった のか、それほど映画化したい題材だったと思うべきか…。まぁ、私の目当てはコリン・ファースなんで、どうでもいいんですが(^_^;)。むかし、ヒッチコックも「ふしだらな女」とう邦題で映画化したようです。

コリンの役どころは、主役夫婦(ジェシカ・ビールとカスピアン王子のベン・バーンズ) の父親なんですが、うーん、ハッキリ言って、キャスト中いちばん素敵♡。無精ヒゲで、冴えない人生の隠遁者なのに、不思議だ。最初はもっさりした印象で、 「ああ、すっかり中年」とガッカリしたけど、どんどんいぶし銀のように光りだしてくるのです。出番も多いし、近年の作品ではいちばんの出色作かも、と楽し くみていてたら、クライマックスでは、なんとジェシカ・ビールとタンゴ! 鼻血ブーっすよ。そして、あの最後。でも、あの組み合わせは長続きしないと思う けど…。
 
ジェシカ・ビール分する女ドライバーのニュースリールを上映するジャズエイジの劇場、という凝った仕掛けのオープニングではじまり、劇中カワードの曲をカスピアン王子が歌い出し(歌担当は彼だけ)、コール・ポーターなどの曲もBGMに取りいれています。さすが「プリシラ」の監督、ミュージカル仕立てはお手の物。フリースピリットあふれる存在が旧弊な共同体に入りこみ、ある者は反発し、ある者は本当の自分に気づく、という展開は、「プリシラ」と共通するものがあるかも。

 チェ ンジ・オブ・フォーカスや、映り込みを多用したトリッキーな演出が、こういう時代設定の作品には似つかわしくないようにも思うけど、それこそ旧弊な考えかも知れません。

カスピアン王子のお家はアッパーミドル階級なのですが、屋敷内のところどころに、やたらエロい像が配されており、美しいけれど体面第一のクリスティン・スコット・トーマス扮する女主人を裏切っています。ビールが、最後に像の一つを壊していくのが痛快。この時代の衣装に身を包んだビールが、たいへん美しいです。
 
そういえばずっと前にも、渡米直後にコリンのコスチュームプレイ映画がかかって、いそいそ観に行った記憶があるなぁ。「アーネスト式なんとか」って映画だったかなあ。派手なヒット作はあまりないけど、コンスタントに地道に活躍しております、ダーシー様。新作はヴェネチア映画祭にコンペ出品されるみたいだし。塚本監督の「Bullet Man」と競うのね。

映画のエンドクレジットに、ビリー・オーシャンの”When The Going Gets Tough The Tough Get Going"が流れますが、コリンもちゃっかり歌ってます。「アーネスト」ではわざと下手に歌ってたのねん。

http://easyvirtuethemovie.co.uk/

先日たまたまコリンの「いとしい人」"Then She Found Me"がTVでやっていたので、観ましたが、ヘレン・ハントの変ぼうにびっくり。骨と皮ばかりの老婆のようになっちゃって、どうしたの? 彼女の母親役、ベッド・ミドラーの方が、小柄ながらあの年齢ですばらしい美脚で、よっぽどみずみずしいのですが…。コリンは、「ぼくのプレミア・ライフ」みたいな、かんしゃく演技が素敵でした。最近、「愛を読む人」とか、「〜する人」っていう邦題が流行り? 「いとしい人」って最低ランクの邦題だと思うけど。

2009年7月30日木曜日

"The Land of The Lost"

[鑑賞日:6/11/09]

"The Land of The Lost"という、ウィル・フェレルのコメディ映画を見ました。
「俺たちニュースキャスター」とか、低次元バディ・ムービーがツボのウィル・ファレルの映画は好きだけど、これは退屈でした。

ウィル・フェレル扮する「量子古生物学者」のマーシャル博士が、時空を超えて、パラレルワールドへタイムワープできる機械を発明して、恐竜や類人猿やトカゲ人がいる原始時代の生物相の世界にワープしてしまうという物語。

2月にサンタに遊びに来たときにポスターを観て、「お、ハリーハウゼン映画のオマージュか!?」と期待していたのだけど、古典怪獣映画への愛情みたいのは感じられませんでした。昔の、安っぽい特撮で有名なTVシリーズが元になっているそうで、納得。その手のクリーチャーは着ぐるみだろうし、合成の安っぽさなどを強調した演出はそのせいだったのね。

日本では、『マーシャル博士の恐竜ランド』という題で、9月公開が早々に決まったもよう。こんなのがすぐ公開されるのに、「コラライン」がいまだに未定なんて、なっとくできなーい。

だって、"Today"ショウのマット・ラウアーネタなんて、日本人が見たっておもしろくもなんともないし、元になった番組だって知らないでしょうに。

"Little Ashes"

[鑑賞日:6/9/09]

"Little Ashes"という映画を見ました。若き日のダリと、詩人ロルカ、映画監督ブニュエルとの出会いを描いた映画です。

ダリなんて、目玉をひんむいたカールひげのおじさんというイメージぐらいしかありませんでしたが、若いときはロルカやブニュエルと僚友で、しかも ロルカとは怪しい関係になったりします。二人の親密な様子に、ホモフォビア(実はその気あり)のブニュエルが嫉妬して、そのたんびに無関係な男をなぐるけ るするのがおかしかったです(笑い事じゃないけど)。

エキセントリックな外見と行動の、色白の若者というキャラクターだと、どうしてもジョニー・デップを連想しちゃいますが、ダリを演じている俳優さ んは、時にはカイル・マクラクラン、ときにはブレンダン・フレイザーに面差しが似ています。お耽美な雰囲気を醸すには、ちと割れアゴでガタイが良すぎ (^_^;)。でも後で調べたら、「トワイライト」で人気沸騰のイケメン俳優Robert Pattinsonさんだそうで。今度観てみよう。

ロルカとダリが旅行に行って、夜の海で月に照らされながらたゆたう場面が、なかなか官能的できれいでした。(というか、その場面のクリップを観て、観る気になったのですが)

パリに行ったダリとブニュエルが作った「アンダルシアの犬」というタイトルの有名なシュールレアル映画を見て、ファシズムうずまく祖国にひとり残ったアンダルシア人のロルカは傷つきます。

狙ってなのか予算不足なのか、風景の書き割りや演出などが、まま舞台っぽいのと、濃すぎるスペインなまりの英語がちょっと鼻につきます。

ロルカについてはほとんど何も知らなかったので、帰ってウィキなどで調べました。劇中のロルカとダリの関係は、「モーリス」の二人の主人公に似て ました。ぶっちゃけ、この映画からなんらかのインスピレーションを受けるか、まったくくだらないという印象を受けるかは、見る人の感性次第で、映画自体は いいとも悪いともいえないと思う。(なんじゃそりゃ(^_^;))乙女的感性を持ち合わせているロジャー・エバートの評を読んだら、3人のうち、一番才能 があるのが映画監督のブニュエル、と書いてるのが、映画関係者らしい評価でおもしろかったです。後ろの席に座った中年ゲイカップルにも感想を聞いてみた かったなあ。

http://www.littleashes-themovie.com/