2009年10月31日土曜日

"A Serious Man"「シリアスマン」

「ファーゴ」、「ノーカントリー」の、コーエン兄弟最新作です。
コーエン兄弟はユダヤ系だそうで、1967年のミネアポリスのユダヤ系コミュニティを舞台にした本作は、彼らの少年時代に基づいた、今までで一番パーソナルな作品、と言われています。

2009年10月28日水曜日

"Astro Boy(「ATOM」)"


覚悟して行ったつもりですが、ここまでメタメタとは…。これでは「間違いだらけの『鉄腕アトム』」です(T_T)。

富士山を載っけて地表から浮かび上がった都市が映画の舞台なのは、「これぐらい本作とオリジナルは接点がありませんよ」という製作者側のマニフェストなわけですね。


2009年10月27日火曜日

"Cirque du Freak: The Vampire's Assistant"「ダレン・シャン」


「ダレン・シャン」、観てきました!

なかなか面白かったです。でもレビューは予想外に悪いです。ロジャー・エバート、こういうの嫌いなんだよね…。予告編と、オープニングの、影絵を模したCGアニメの印象が良かったので、好意的に映画を観れたのがよかったのかな。

「ピクサー週間inSC」その4: "Creativity ~ What I Don't Know and What I Know" by Ed Catmull

10月23日 "Creativity ~ What I Don't Know and What I Know"


さて、ピクサー週間のトリをつとめるのは、もちろんエド・キャットムル社長の授賞式ですが、それは一般公開ではありません。でも授賞式の前に、氏の基調講演がありました。

キャットムルは問いかけます——アニメーション作品をつくるにあたり、アイディアと人の、どちらがより重要なのか?

「ピクサー週間inSC」その4:"The Pixar Story(「ピクサー・ストーリー~スタジオの軌跡」"

今夜は、ドキュメンタリー映画"The Pixar Story"の上映と、監督によるQ&Aがありました。会場はダウンタウンにあるデルマー映画館。サンタクルーズ市とサンタクルーズ映画祭の提供で、入場料は5ドル。

会場は満員で、ピクサーの人気ぶりがうかがえます。さきほど大学で講義をしたジョンソン氏も観に来たのですが、劇場側の段取りが悪いためにリザーブ席に座れなくて、照明のそばに座って、監督の挨拶が終わったら親切に照明を消してあげていました(^_^;)。サンタらしい…。


監督のLeslie Iwerks(レスリー・アイワークス)は、ディズニー・スタジオで、ミッキー・マウスのアニメーションや、マルチプレーンの開発にも関わったUb Iwerksの孫にあたり、祖父に関するドキュメンタリー"The Hand Behind the Mouse: The Ub Iwerks Story(ナレーターはケルシー"フレイジャー"グラマーだ!)"を観たラセターが、彼女に本作を依頼したそうです。

「ピクサー週間inSC」その3:"Making Movies is Hard Fun: Building Tools for Telling Stories" by Michael B. Johnson

10月22日 "Making Movies is Hard Fun: Building Tools for Telling Stories" 



Michael B. Johnson氏は、ピクサーのMoving Pictures Groupという、プリプロダクション過程で使うツールを開発する部門の責任者です。

彼らの作ったツールには、例えば、アニメーターが作成したCGの1場面に、監督が直接修正ガイドを書きこめるペンタブレットなどがあります。

「ピクサー週間inSC」その2: "Making of Toy Story" by Mark Henne

10月21日  "Making of Toy Story"

今日は上記の題で、ダウンタウンの新築ビルの階上(1階はずーっとテナント募集中!)で、Mark Henne氏が講演しました。 今回は$10の参加料がかかり、「ピクサー週間」中一番高額なイベントでした。飲み物とおつまみが出ましたけどね(^_^)。

マーク・ヘンネ氏は、UCSC出身で、コンピューター・サイエンスの学位を持っています。ピクサーへは最初インターンに行き、その後1994年、「Toy Story」から正式に社員として参加しており、現在は主に毛髪と布地シュミレーションのスーパーバイザーをしています。

「ピクサー週間inSC」その1:"Tales of Labor and Value: What Works in Pixar Films"


10月23日、UCサンタクルーズ校が、ピクサーとディズニーの社長エド・キャットムルの実績を評価して、功労賞を授与することになりました。で、その一週間は「ピクサー週間」と銘打って、ピクサースタッフによる講演や上映会などがあり、一般参加できるものは、全部顔を出して来ました。面白かったけど、忙しかったわん(^_^)。


2009年10月21日水曜日

"Where the Wild Things Are(かいじゅうたちのいるところ)"


モーリス・センダックの有名な絵本「かいじゅうたちのいるところ」を、「ジョン・マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」のスパイク・ジョーンズが映画化しました。

半年ほど前でしたでしょうか、スチル写真や予告編が少しづつ出回りはじめ、それらを目にしたときから、公開を楽しみにしていました。ときどき、「これを観るまでは死ねない!」って思う映画がありますが、これもそんな一本でした。原作は未読だったので、センダックのファンだったわけではありませんが、何より映像に心奪われました。スチルを観たときは、てっきりかいじゅうたちはCGだと思ったのですが、予告編を観ると、着ぐるみっぽい。2,3度予告編を観て、たぶん着ぐるみに、表情だけCGで加工したんだろうと当たりをつけて、公開日前日にメイキング本を買いこんで確認すると、やはりそうでした。着ぐるみはジム・ヘンソン工房が作り、最初は目や口がうごくアニマトロニクスの頭部だったのですが、あまりに重すぎるので、止めたそうです。

2009年10月15日木曜日

"Paranormal Activity"「パラノーマル・アクティヴィティ」

怖いと評判のホラー映画です。
そして、手持ちカメラで捉えた主観カットのみで構成されるドキュメンタリーを装った手法、さらに15,000ドルという低予算からも、第2の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ともいうべき作品です。

予告編が、試写会で本作を鑑賞する一般観客の様子を暗視カメラで捉えた映像を使っていて(これ自体が本編の手法の応用。ちょっと"Mystery Science Theater 3000"みたいだけど(^_^))、本気で驚いたり怖がっている彼らの様子に、「これは掛け値なく怖そうだぞ!」と、興味をそそられます。

2009年10月12日月曜日

“Transcending: the Wat Misaka Story”


ワット・ミサカという、1940年代後半に活躍した、知られざる日系二世のパスケット・ボール選手についてのドキュメンタリーです。

Trailerを見たら、ミサカ選手が出場している試合のビデオが映っていたのですが、確かに他の選手より少し小柄な感じだけど、手足がすごく長くて、動きも敏捷そう。

ユタ州の大学でバスケットボール選手として活躍していたワットは、戦争が始まって、他の同胞とともに収容所送りになっても、メンバーとしてトーナメント・ツアーに参加するのを許されます。NYのマジソン・スクエア・ガーデンでの決勝戦で、チームを優勝に導く立役者として大活躍したミサカ選手。地元に戻れば、盛大な歓迎パレードに迎えられますが、その後、収容所に再び戻されるはめに。でも、すぐに兵士として徴収され、原爆投下直後の広島に、調査メンバーとして派遣されます。被害者のほとんどが一般市民であることに、疑問を覚えずにいられないワット。

2年の兵役を終え、大学に戻ったワットを待っていたのは、プロバスケットボールチームのニックスによるドラフト1位指名のニュース。BAA(NBAの前身)で、大学生が指名されたのも初めてならば、白人以外の選手としても、史上初だったそうです。

映画は、ミサカ選手本人、彼の身内、それに元チームメイトらのインタビューと、当時の映像や新聞記事、写真などで構成されています。戦中・戦後の時代、もちろん在米日系人であるワットも、試合中や試合後に罵倒されるなどの差別を受けています。でもチームメイトはワットを100%信頼しているし、コート上での彼の素晴らしい活躍に、率直に声援を送る観客や、マスコミもまた多くいました。あくまでチームプレイに徹する彼の試合ぶりを見れば、選手仲間からの全幅の信頼ぶりもうなずけます。勝利が決まるごとに、決まってミサカを中心に選手達の輪が出来て、もみくちゃになるのが、ほほえましかったです(^_^)。

ニックスでプレイしたのが結果的に3試合に終わったことや(人種的な問題が絡んだ可能性あり)、ミサカ本人の控えめな性格などもあり、NBLの歴史からほとんど抹消されていたミサカですが、このドキュメンタリーがきっかけで、ホール・オブ・フェイムや選手名鑑に登録されるなど、再認識されたそうです。

アートが題材の作品が中心の本映画祭で、異色のテーマだったためか、観客は20人に満ちませんでした。でもたいへん興味深いドキュメンタリーで、いくつか賞をもらっています。各映画祭などで上映されていりますが、まだ配給がついてないそうです。日本の映画祭とかでも上映されたら話題になりそうですけどねぇ。

http://www.watmisaka.com/photos/MSG/msg4.html

"Precious: Based on the Novel Push by Sapphire(「プレシャス」)"

今年のサンダンス映画祭で、グランプリ(審査員賞)と観客賞をダブル受賞という快挙をなしとげた作品。カンヌやトロント(観客賞受賞)映画祭でも絶賛され、アカデミー賞候補の呼び声も高い話題作です。

お話は、1987年のハーレムが舞台。16歳の少女プレシャスは、2度目の妊娠をしていた。父親は、自分の実の父。父は家にほとんど寄りつかず(劇中一度も登場しない)、無職で家事などもすべてプレシャス任せの母親と2人暮らしだ(1人目の子どもは、祖母に預けているらしい)。母親はプレシャスを虐待している。プレシャスは、とんでもなく太っている。友だちもいない。

ある時、オルターナティブ・スクールへの転校を勧められたプレシャスは、そこでブルー・レインという教師と出会う。ブルーは、プレシャスが文盲であることを見抜き、根気よく教育していく。ブルー先生やクラスメート(みんな落ちこぼれの問題児)との交流を通し、少しづつ、殻をやぶっていくプレシャス……。

非常に悲惨な境遇に置かれながら(というかそれ故に)、ファンタジー(つまり妄想)世界に意識を飛ばすことで、かろうじて正気を保っている子ども、というところで、ニール・ジョーダンの「ブッチャー・ボーイ」に通じるものがありますが、こちらはティーンの女の子が主人公なので、夢見るのは、美しく着飾った自分が華やかなフラッシュライトを浴び、理想の男の子と出会うという内容になってます。でも、だんだん、読み書きを覚えたり、他人と交流するようになるにしたがい、自分の本来の姿と向き合うようになります。

「チョコレート」のプロデューサーだったリー・ダニエルズの初監督作品。上映後、監督とブルー役のポーラ・パットン(とても美しい女優さん)とのQ&Aがあり、マライヤ・キャリーやレニー・クラヴィッツが出ているのは監督と友人だったからとか、サンダンス映画祭の授賞式で、まさに登壇しようとしていたところへ、オプラ・ウィンフリーが電話をかけてきたというエピソード(そんなところまで携帯を持ってくるがっついたディレクターとは私のことです、と冗談いってました(^_^))などを語ってくれました。これは、そもそも自分の母親や身内のために作った映画なのだが、こんなにユニバーサルに支持されて驚いている、とのことでした。

原作は、サファイアという詩人の「プッシュ」という小説。小説では、読み書きを覚えたプレシャスが先生に宛てて書いた日記を通し、彼女の自我の芽生えと成長を描いていく、という形式みたいですね。映画では、書くことを通し…というよりも、彼女が逆境に押しつぶされなかったのは、彼女のウィットとユーモアセンス故、と微妙に、映画的にアレンジしています。それで、非常に重い内容にもかかわらず、上映中は幾度も笑いが起きていました。ユーモアは大事だ。ユーモアセンス皆無の、プレシャスの母親は、自分を哀れむばかりで(「誰が私を愛してくれるの!?」)、そんな人には、プレシャスのように、救いの天使はやってこないのです。

監督は、「チョコレート」もそうだったけど、女性が虐待されるのはがまんならないんですって。とても優しげにしゃべる人でした(openly gayだそうです)。プレシャスを演じたギャビーという女性は、これがデビュー作で、監督もポーラもべたぼめ。彼女がレッドカーペットを歩く姿は、フィクションが現実になったようで、とても感動した、と監督は言っていました。最後の方で、プレシャスがとても輝いて見えるのは、ギャビーがそうだからで(役作りのためにしゃべり方や歩き方を普段とまったく変えたそうです)、スタッフも彼女をスターとして扱ったので、この映画で彼女はスターになったんだよ、と熱く語っていました。

観たのは、モントレーのGolden Theater。非常に歴史の古い、アールデコ調の内装が美しい映画館で、サンダンス映画祭の監督で、カーメル映画祭のキュレイターであるジョン・クーパーが、「モントレーにこんな映画館があるなんて知らなかった! 隠れた名所だ!」とリップサービスしていました。でもサンタのデルマー劇場だって負けてないですから。

全米公開は11月末から。

"Carmel Art & Film Festival" カーメル映画祭


"Carmel Art & Film Festival" (http://carmelartandfilm.com/)という映画祭に行ってきました。
カーメルは、サンタクルーズから1時間ほど南下したところにある海辺の観光地です。サンタよりもこじゃれた町並みで、画廊などが建ち並ぶオシャレでリッチな町。昔、クリント・イーストウッドが市長を務めたことでも有名です。

カーメル映画祭は、今年が第一回。サンダンス映画祭のディレクター、John Cooper(ジョン・クーパー)氏をキュレーターに迎え、今年の同映画祭で上映された話題作を中心に上映されます。"Art & Film"と銘打ってあるように、アートに関係する作品が多いのが特徴でしょうか。映画祭が開催された10月8〜11日は、公園でアートフェアが開かれたり、各画廊でアーティストを招き、ワインテイスティングをしながら(ピーナッツバターとチョコレートのように、アートとワインが相性がいいそうです(^_^))、作品を鑑賞したり、アーティストと談笑したり(ほろ酔い気分で気持ちより作品を買ったり)できるようになっています。コンサートもあり、メインイベントとして、アラン・シルベストリ(「フォレスト・ガンプ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」)と、ローカルTVニュースKSBWのニュースキャスター、エリン・クラークとのトークショーがあります。エリンは映画祭のExective Directorの一人なので、映画の上映前に毎回登場して、前口上を述べてました。
ちなみに、イーストウッドはこの映画祭についてはノータッチだそうですが、「べつに全然後ろめたくないよ。いいことなんじゃないの、この町で映画祭をやるっていうのは」と、KSBWニュースで言ってました。(写真は映画祭のオープニングナイトの席で。映画祭のFacebookより)

それにしても、これほど規模の小さな映画祭は初めてです。上映作品は、わずか9本。そもそも、カーメルには映画館がありません! 上映は、Sunset Centerという町の公民館みたいなところ、もしくは隣町モントレーの映画館で行われました。1本25ドルというバカ高いチケット代もどうにかして欲しいです。おかげで、客層は裕福な年配の人たちが90%でした。まあ元々町の住民層がそういう方達なので、運営側も、ご年配の方々ばかり。みなさん上品で優しいのですが、何か肩が凝って仕方がありませんでした、ヒッピータウン、サンタの住民としては。まあ、アートとからめるという特色があるし、毎年サンダンスとコラボするのならば、今後に期待が持てそうです。

私が観た映画は次の通り。
"Precious: Based on the Novel Push by Sapphire"
“Wat Misaka Story”
“Art & Copy”
“September Issue”
Shorts(短編集)

あと映画とはいえないけど、映画制作秘話みたいな、
Lecture Series: Wyeth Documentary

2009年10月9日金曜日

"Zombieland"「ようこそゾンビランドへ」


先週末に公開され、全米1位になったホラー・コメディ"Zombieland"を観ました。
これ、すごくおかしくて、何回も声を出して笑ってしまいました。公開翌週の平日のマチネーだと、どんなにヒット作でも観客は1ケタということが珍しくないここサンタクルーズの映画館で観て、ちょっともったいないことをしました。公開直後の夜に行って、みんなとワハワハ笑ったらもっと楽しかったでしょう。や〜、本当におかしい。「Hang Over」より笑えました。

映画の幕開けから、すでにアメリカ中がゾンビで溢れ、人間は影も形も見あたりません。ナレーターは言います、「ここは合衆国ですといいたいけど、言えない。人間がいないのでは、国と言えないから。ここは、"The United States of Zonbieland"だ」と。続けて、映画は少し過去に戻って、ゾンビが人々を襲いはじめた頃の模様を映し、ナレーターが、ゾンビのはびこる世界で生き残る心得を、挙げていきます。#1、デブじゃないこと、#2、ダブルチェック(ゾンビを確実に仕留めるため、2回は致命傷を与えろという意味)、#3、シートベルトを締めろ、#4、トイレに注意、という具合(順番はちょっと違うかも)。本作はコメディですが、この冒頭に出てくるゾンビたち、かなり怖いし、メイクもエグいです。

そして、やっと声の主が登場します。演じるは「イカとクジラ」の優男くん、ジェシー・アイゼンバーグ。登場早々、本人が、「とても生き残るタイプに見えないよね」と認めていますが、秘訣は、先に挙げた自分で作った心得と、もともと他人と関わらないで生きてきたから、だそうです。

テキサスから、両親の住むオハイオ州コロンバスへ車で向かう旅の途中、彼はもう一人の人間に出会います。それが、カウボーイハットのいかにも強面タイプ、ウディ・ハレルソン。あまり親しくならないように、お互いを「コロンバス」、「タラハシ」と地名で呼び合いながら、道中を共にします。ゾンビ退治がうまいタラハシは、心強い道連れですが、なぜかTwinkieという菓子パンに異常に執着していて、置いてそうな店を見つけては、危険も顧みずに探しに行きます(でも絶対にありつけないというお約束(^_^))。ジョディ・フォスターが、「ハートに火をつけて(バックトラック)」で食べたがった、ピンク色の丸い菓子パンと、同じ会社(Hostess社)の製品です。あと、回想シーンで、子犬と戯れるタラハシのシーンがあるんですが、そこもすごく可笑しかった〜。

で、トゥンキーを探しに行ったスーパーで、思いがけなく、女の子の二人組と出会います。二人は姉妹で、姉はちょっとリンジー・ローハン似のエマ・ストーン、妹(12歳)は、「リトル・ミス・サンシャイン」のかわいいアビゲイル・ブレスリンちゃんが演じています。なんだかんだの末、結局4人はロサンゼルスの遊園地(妹が行きたがっているのと、そこにはゾンビはいないらしいので)を目指すことになります。その前に、ハリウッドに寄り道して、スターの豪邸巡りをしようということになり、今度はタラハシの希望で、ビル・マーレーの、すんごい成金趣味の屋敷にお邪魔して、好き放題。「ビル・マーレーって誰?」という妹に、豪邸内の私設映画館で、「ゴーストバスターズ」を見せるコロンバス。

ここからは、観てのお楽しみです。もう傑作なシークエンスが続くので、書きたいけど、ネタバレになっちゃいますからね(^_^)。監督は、Spike TVの作品などを手がけてきたという若手のルーベン・フレイシャー。長編映画は初挑戦だそうです。

2009年10月8日木曜日

"Capitalism: A Love Story" 「キャピタリズム 〜マネーは踊る〜」

ベネチア映画祭でも話題を振りまいていた(&割といい評価)マイケル・ムーア待望の新作、「Capitalism: A Love Story」を観ました。

私はあんまり英語の聞き取りが得意ではないので、字幕なしでドキュメンタリーを観るのは正直しんどいのですが、この映画の構成自体は、とてもスッキリと、よくまとまっています。最初に、セキュリティカメラに映った銀行強盗たちの映像をモンタージュで見せ、「大企業の金持ちたちがこれと同じことをやっていますよ」といいたいのだな、とセリフなしで伝えてくれるので、助かります。つまり、ムーアの映画は、大衆向けに、分かりやすく作ってあり、決してインテリさん向けではないのです。

で、本作で何を学んだかというと、資本主義とか、今回の経済危機の原因についての新しい知識とか見方よりも(そういうのは、ちゃんとニュースをある程度見聞きして、メディアリテラシーがある人ならば、この映画にでてくることはさして目新しくはない。それでもすごくよくリサーチしてあり、うもれていた事実なども明かされていますが)、マイケル・ムーアについての理解が深まりました。

彼は、骨の髄までアメリカンな考え方と行動様式を持つ男。そして、すごい愛国主義者です。なにより、自分の地元が大好き。たいへん大きなテーマを扱っていても、彼の目と心は、地元ミシガン州の町、GM社のお膝元フリントから、一歩も動きません。取材相手も半分が、彼の身内や知人や同郷の人でした。どこまでも、庶民目線、フリント住民目線を貫いています。もっとジャーナリスティックに、こういった問題を理解したいと思ったら、CBSの「60ミニッツ」とか観る方が、きっとタメになる。

さて、本編中いちばんショッキングだったのが、世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートが、自分の従業員に保険をかけ、もし若く有能な社員が死亡した場合、同社は大きな損失を被ったとみなされ、多額の保険金を得るというシステム。でも、遺族にはビタ一文払わないので、働き手を亡くした遺族は困窮にあえいでいるのです。この保険の存在を知ったときの、遺族の人たちの顔……。そして、この保険の呼称が、「Dead Peasant(死んだ小作人)」。うーん、なんか今のアメリカで、吸血鬼映画やTVドラマが大流行なのが、分かる気がする。いるわ、吸血鬼。今ではさすがにその呼び方だけは止めたそうですが。

あと、すごくシンプルにいうと、映画の中で、レーガン(とブッシュ)大統領が悪の根源、大企業の味方なのに対して、フランクリン・ルーズベルト(とオバマ)大統領が正義の人、庶民の味方という二極的な構図になっています。FDRが、「Second Bill of Rights」をモノクロの映像で読み上げる内容が、とても理想主義的で、印象的でした。もしこれが、実現していたら……(ルーズベルト大統領の死によって、実現しなかったのだそうです)と、マイケルは訴えたいのでしょう。もしゴアが勝っていたら……。もしオバマが勝っていたら……。(最後のは実現したので、オバマがんばって欲しい。道半ばの死に注意だ)

あまり目新しい事実などが提示されない前半は、ちょっと退屈。でも、後半、「分かった、分かった、今の資本主義とアメリカが、すごく間違ってるのは分かった。でも、じゃあどうしたらいいわけ? 解決策は? 社会主義? (ペイリンはオバマの国民皆保険制度を「すごく社会主義的に聞こえるわ!」と言ってました) そうなの?」って思いながら観ていると、マイケルはずばりいいます。「民主主義が答えだ」、と。

前の座席に、年配のご婦人がひとりで座っていたのですが、いかにも感に堪えない、我が意をいたりというように、映画を観ながらブツブツ同意したり、驚いたり、ミニ感想を言っているのが、おもしろかったです。わたしもそういうことができるぐらい、100%聞き取れたらなぁ。

2009年10月5日月曜日

"The Informant! (インフォーマント!)"

スティーヴン・ソダーバーグ監督、マット・デイモン主演の「インフォーマント!」は、ベネチア映画祭で上映され、華々しくマットや監督がやって来ましたが、アメリカ映画はアメリカに戻ってから観ればいいと思い、レッドカーペットだけちょっと見て本編はスルーしました。帰ると、さっそく上映しておりました。

さて、この映画、題材のひそみにならったのか、ひとくせもふたくせもあります。

タイトルバックから、それを象徴しているのが、リールテープをnagraの再生機にセットする様子をクローズアップでとらえた、シリアスなスパイものに相応しいシークエンスに、マーヴィン・ハムリッシュ(「コーラスライン」「スティング」「007 私を愛したスパイ」)の陽気でレトロチックなBGMがかぶるミスマッチ。

これはまんま、大企業の不正を暴く大仕事に臨むうえでの、FBI側のどこまでもクソまじめな態度と、主人公であるマーク・ウィテカー(マット・デイモン)の、事の重大さにそぐわない、スパイごっこ気分のような、アマチュアくさい態度(アマチュアなんだけど)との、温度差を表しているといえるかもしれません。

実話なんだそうです。トウモロコシを扱う大企業の不正を内部告発した男の話、ただしコメディタッチ、ということだけは、前知識で知っていました。

で、のっけから混乱したのが、時代設定。音楽同様に、映画のルックもレトロに仕上げてあり、70年代や80年代の作品のような、粒子が粗く色の発色が悪い、ピントの甘い映像になっていて(ポスプロでやったのかしら、それとも昔の機材を使ったのかしら?)、そのへんの時代の話なのかな、と思ったら、しばらくして、マークが「マイケル・クライトンの小説みたい」とか言ったり、ゴツい携帯電話を使ったりするので、90年代はじめぐらいの話なんだなと分かるのですが、だとすると、時代設定よりもさらに古い画面作りをしていることになるけれど、何故なんだろう。時折出てくる地名のキャプションなどは、さらにサイケ調な書体だし。それくらいマットが時代とズレたところにいた、ということかな? 今回そういうスタイルで攻めてみたかったのかな。

企業の陰謀を曝く内部密告者の話となれば、話も結構複雑です。しかも、マークが言うことはどれが本当でどれがウソなのか分からなくて、FBIもすっかりだまされてしまうほど。口先だけで、まんまと社会や大組織を何年もだまして世渡りをする実在の人物、ときどきいますね。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のディカプリオ扮する詐欺師しかり、「ニュースの天才」の記事をねつ造した新聞記者しかり。大きなウソほどばれにくいと申しますが…。この社会(特にアメリカ)がそもそも虚構の上に成り立っているため、ある種のウソを構造的に「キャッチ」できないのではないか、という気がしてしょうがありません。それで、輪をかけて観客の脳みそを忙しくさせたいのか、FBIや取引先との大事な打ち合わせの最中に、マークがぜんっぜん関係ないことを独白するんですよ。毒を持つ蝶がどうのこうのとか、白熊の鼻が黒いのはどうのこうのとか、「トロ」という言葉は日本ではどーのこーの。うんちく君だったんですねぇ、マークは。彼の頭の中の一部では、いつも現実とは違う世界が展開していたのでしょうか。おかげで、字幕欲しい度200%でした。

ところでトウモロコシ会社(ADMという会社名)の不正、各国の競合会社と談合して価格操作してるんですが、味の素もからんでいます。それで、東京ロケもちょっとやっています。どこのホテルかなあ。ハワイでゴルフ接待とか、いかにもなシーンも出てきます(^_^)。

マークを演じるマット・デイモンの役作りも見物です。レネー・ゼルウィガーなみに増量したのも凄いけど、本人がそうなのか、歩き方が変わってて、いかにも運動とは縁のないホワイトカラーの中年ビジネスマン風で、とても「ボーン」シリーズの人と同一人物とは思えません! あと、FBI捜査員の二人組(いい奴ら。告発後のマークの身の上を本気で心配しています。本人は、「社長になる!」とかお気楽なことを言ってましたが)に扮する役者、2人とも良かったですが、そのうちの一人を演じているジョエル・マクヘイルという役者は、この秋のNBCの新番組「Community」で主役に抜擢された人でした。コミュニティ・カレッジを舞台にしたコメディで、チェビー・チェイスや、「ハングオーバー」で日本のヤクザのボスみたいな役を演じて、強烈な印象を残した中国系(かな?)の小柄なおっさん俳優(名前は覚えてないです)なども出ている、注目の番組です。

2009年10月1日木曜日

「Cloudy with A Chance of Meatball (くもりときどきミートボール) 」

3DのフルCGアニメ。予告編を見たとき、あんまりいい印象を受けなかったのですが、いや、予想を裏切って、すごい好き。なんというか、「全問正解!」という感じでした。「UP!」より好きかも。

まず、最初の一歩から、この映画とのシンクロ率200%です。コロムビア映画のロゴの、自由の女神像の上に降ってくるバナナや、"Filmed by lots of people"っていうクレジット(普通は監督の名前が出る)も気が利いてますが、それよりも、プロローグ。不器用な私は、普段いつも靴のひもがほどけてしまい、日に何度も結び直すのですが、発明家志望の少年、ブラントは、この人類共通の難問を解決する発明をします。それは、スプレー式の靴! Genius! How convenient! ……でも、ひとつだけ難点があり、それは、脱げないこと。こんな調子で、ブラントはいつも素晴らしい発明をするのに、惜しいことに、どこか一本ネジがはずれてて、みんなにバカにされています。さて、一方傷心のブラント少年を優しくなぐさめる母親は、息子に白衣をプレゼントします。目を輝かせ、「僕は立派な発明家になる!」と、裏庭の自作研究室にこもり、ますます発明に励むようになるブラント(そういえば「Tetsuo」のスタッフに、白衣が大好きな、特殊造型スタッフの青年がいたっけ)。少年のベッドルームの壁には、ロックバンドやスポーツ選手のかわりに、発明家たちのポスターが貼ってあります。テスラが憧れのヒーローの少年が主人公なんて、うーん、マニアック過ぎる。

さらに、ロケーション設定も、シンクロ率高し。地理的には、大西洋に浮かぶ小さな島という設定ですが、昔いわし漁で栄えた町が、需要がなくなったために今はすっかりさびれてしまったというところが、サンタクルーズから車で1時間ほど南下したところにある、モントレーにそっくり。モントレーは、スタインベックの「缶詰横町」の舞台になったところです。「ミートボール」に出てくる市長の考えと同じように、缶詰工場跡を観光に利用しようとし、映画と違い成功しています。今ではモントレーといえば、水族館と、ジャズフェスティバル(イーストウッドも常連)で有名です。

あと、好きなのは、映画の最初の方、ブラントが少年から青年になる過程で、エピソード的にチラッとだけ言及される、彼の発明品の数々が、(増毛スプレー意外)後で全部生きてくるところ。靴は結局脱げなかったらしく、ずっと履いてるし(^_^)。

ところで、アメリカ人て、ほんとスプレーが好きだと思う。スプレー式のチーズとか(私も愛用)、スプレー式のホットケーキミックスとか(きのう作って食べた)、スプレー式の芝生とか。

予告編で、抵抗があったのは、食べ物を粗末にあつかっているところ。空からぼとぼと、ハンバーグやスパゲティが落ちてくるなんて、もったいなさ過ぎるし、それを食べるなんて言語道断! さすが、平気で靴を履いたままベッドにあがる習慣の人たちは、やっぱり無神経だわ、わたくし耐えられません、オホホって思ってたのですが、実はまさにそこが映画のポイントで、無自覚な飽食、「もっと、もっと」と欲しがる貪欲、さらにはジャンクフードの危険性をいましめる展開になっておりました。でも、最後の方に出てくる、おっきなガミーベアくんたち(凶暴)は、ちょっとかじってみたいと思ってしまいました(^_^;)。

さらに、裏テーマみたいになってるのが、肥満問題と同じぐらいアメリカを蝕んでいる「人気者になりたい」病。いつもバカにされてきたフリントが、「ビッグになりたい」願望に取り憑かれた市長(声はブルース・キャンベル!)の「みんなの人気者になるぞ」という甘言にそそのかされ、GFや実直な父親の言葉に耳を塞いで、市長のいいなりになったために、大変な事態になってしまいます。また、NYからやって来た新米お天気キャスターのGFは、少女時代はフリントと同じようなオタクでしたが、仲間はずれにされないために、無理に自己改造した過去があります。でもフリントに会って、本来の自分を取り戻します。で、その表現が、眼鏡をかけて、ポニーテールにする、というものなのですが、声をアテているアンナ・ファリスが主演した「House Bunny」と真逆というか、同じで、それでファリスなのか、と腑に落ちました。でもまず、眼鏡にお下げ=オタク女子、メイクしてファッショナブルに装えば速、頭空っぽの軽薄なイケイケイねぇちゃんに変身、という、外見が内面を支配するという集団幻想から、そろそろ脱皮しましょうよ。

キャラ的には、フリントの父親(ジェームズ・カーン)がすごくいいです。口べたで、なんでもいわしに例えないと思いを伝えられないので、息子とうまくコミュニケーションがとれません。それに、すごい機械音痴だから、ガジェット好きの息子のことも分かってやれない。発明家になるなんて夢をいつまでも追ってないで、自分のいわしショップを手伝って、地に足をつけて欲しいと思っています。禿げ頭にぶっとい一文字眉毛という外見なのですが、眉をぐいーって上げると、目が見えます。

この映画、3Dらしいですが、近所の映画館では普通の2D上映でした。それでもしばしば、実写かしら、って思うくらい、バックグラウンドが立体的に見えたりしました。建物など、すごいスーパーリアルなマッピングというわけでもないのにね。

アメリカでは2週連続1位の快挙ですが、同時公開の日本では、なんだかランクインしていない様子。やっぱり、感覚的、文化的に違和感がぬぐえないのかしら? SNLのダン・ヘイダーが主人公の声を当てているからというわけでもないだろうけど、ギャグ的にもかなりイケてて、例えるなら3DCG版「ハングオーバー」って感じでした。


「Monsters vs Aliens モンスターvsエイリアン」
3DCGつながりで、見損ねていた「モンスターvsエイリアン」が、昨日DVD発売されたので、借りてきました。「ミートボール」には負けるけど、こちらもなかなかのマニアック度(^_^)。

スーザンのもとネタ、「Attack of the 50 Foot Woman(妖怪巨大女)」は、こないだベネチア映画祭で観た、ジョー・ダンテの5時間に及ぶ、版権無視コラージュ作品"Movie Orgy!"の中核をなしていました。不実な夫にかえりみられない、哀しい妻が宇宙人によって巨大化される、というお話しに、ビックリしながら見ていました(ベネチアくんだりまで行って何観てんだか)が、その設定を踏襲していますね。巨大化した花嫁、スーザンが地面に倒れ、顔の所に小さい夫が立ち尽くしている構図、「マクロス」とそっくりなんですが、と指摘したら、年がバレるでしょうか。

人気も車もない、空っぽのサンフランシスコの街並みなんかも見どころの一つですね。コメンタリーを聞いていたら、そこの場面はスーザンが叫びっぱなしなんですが、リーズ・ウェザースプーンに、60分間分、叫び演技をさせた録音テープがあるそうです(^_^;)。SFを選んだのは、ハリーハウゼンの巨大タコ映画「水爆と深海の怪物」のオマージュかしら。